GNOME 2.30 リリース・ノート

1. はじめに

GNOME 2.30 は GNOME デスクトップの最新版です。GNOME デスクトップは人気が高く、複数のプラットフォームに対応したコンピュータ用のデスクトップ環境です。GNOME は使いやすさ、安定性、そして国際化やアクセシビリティの面についても重きを置いたデスクトップ環境を目指しています。GNOME はフリーでオープンソースソフトウェアであり、メールクライアントやグループウェア、ウェブブラウザ、ファイルマネージャ、各種マルチメディア、ゲームなど今時のコンピュータにユーザが普通に期待するアプリケーションを全て提供しています。さらに、デスクトップ及びモバイル系アプリケーションを開発する上で必要となる柔軟で強力なプラットフォームも提供しています。

図 1GNOME 2.30

GNOME デスクトップは数多くの新しい機能や改良点、そしてバグの修正と翻訳を伴い、半年毎にリリースされています。GNOME 2.30 もこの「しきたり」に倣っています。GNOMEについて、および他のコンピュータ用デスクトップ環境とGNOMEの違いを示す品質 (ユーザビリティやアクセシビリティ、国際化、自由な精神など) についてもっとよく知りたいのであれば、GNOME についてのページをご覧になってみて下さい。

今から GNOME プロジェクトに参加して何に貢献できるのか、そして何が変わるのかを実感してみて下さい。

GNOME 2.30 には GNOME 2.28 および、それ以前に施された改善点の全てが含まれています。GNOME 2.28 で施された変更点については GNOME 2.28 のリリース・ノートをご覧になって下さい。

2. GNOMEグッズをゲットしよう!

GNOME Foundationは、Zazzleのご協力のもとGNOMEストアを開店しました。新しいGNOMEストアでTシャツやマグカップをお買い上げいただくと、その収益(の一部)はGNOMEの活動のために役立てられます。いますぐGNOMEストアにアクセスしてGNOMEグッズのお買い求めを!

図 2GNOME Tシャツ

「フリーでオープンソースなデスクトップ環境を個人の能力にかかわらず、すべての人たちに提供する」というGNOMEプロジェクトの使命を個人が支援する方法の一環として「GNOMEの友達 (Friends of GNOME)」があります。特に宣伝や普及活動を行なっていませんが、2009年には理解ある個人ユーザーの方々から $29,000を上回る額のご支援をいただきました。これらは国際化、アクセシビリティや使いやすさを考慮したデスクトップ・モバイル機器向けソフトウェアをGNOMEプロジェクトが開発するために開催されるハッキング大会 (hackfest) や各地でのイベント、プログラムの資金として活用されています。

詳細は Friends of GNOME のウェブサイトをご覧下さい。

3. 新しくなったこと 〜ユーザ向け〜

GNOME プロジェクトでは数百のバグを修正し、ユーザからの要望に基づいた改良を行いながら、GNOME 2.30 においても引き続きユーザとそのユーザビリティに重点を置いたものになっています。非常にたくさんの改良が施されているため、全ての変更と改善点をこのページだけに列挙することはできません。そこで、今回リリースされた中でユーザの立場に立ったワクワクするような機能のいくつかにスポットを当てて紹介することにします。

3.1. より多くのファイルの表示

GNOME 2.30 では GNOME ファイルマネージャの Nautilus を更新しました。Nautilus には多くのユーザインターフェイスの変更が加わり、新しいスプリットビューモードが加えられました。また、デフォルトではスペイシャルモードではなくブラウザモードで動作するようになります。

図 3Nautilus

3.2. Empathy インスタント・メッセンジャー

Telepathy コミュニケーション・フレームワークを使用して作られている、GNOME のインスタント・メッセージング、およびコミュニケーションのためのアプリケーション Empathy にはユーザのコミュニケーションに役に立つ新しい、重要な機能がいくつも追加されました。

Empathy ではアカウントの接続に失敗したときにコンタクトリストに情報バーを表示し、再接続の試み、またはアカウントの設定を編集を容易するボタンに注意を向けるようになりました。

友達との会話中にファイルをコンタクトリストやチャットウィンドウにドラッグ・アンド・ドロップすることで、ファイルを送ることができるようになりました。

Empathy の IRC 機能が更新され、/join/nick などの一般的な IRC のコマンドがサポートされ、また、パスワードで保護されたチャンネルに参加できるようになりました。

他の更新としては、Facebook チャットを簡単に追加し設定できるようになったこと、友達と会話してるときに簡単に文字列を見つける手助けとなる検索ウインドウを表示するようになったことがあります。

3.3. 簡単に同期

Tomboy メモ にもたくさんの更新があります。手動で同期する代わりに、バックグラウンドであなたのメモを自動的に同期できるようになりました。Tomboy の設定画面中で Tomboy がどの程度の頻度で自動的に同期するのかも設定できます。

Tomboy の起動時間は劇的に改良され、ほとんど一瞬で起動するようになりました。

コピー・アンド・ペースト機能が改良され、メモからリッチな HTML を他のアプリケーション、OpenOffice.org、Evolution などにコピーできるようになりました。情報をペーストしようとするアプリケーションが HTML を理解できれば、メモの書式が維持されます。

Tomboy の他の改良点としては、Microsoft Windows 7® のジャンプリストのサポートがあります。タスクバーや Windows のスタートメニューに Tomboy がある時に動作します。Tomboy でのメモの名前変更も改良され、より安全に変更できるようになりました。メモの名前を変更する際に、他の Tomboy のメモ中にあるリンクが間違って変更されないよう、どう処理するのかを利用者が制御できるようになりました。

3.4. ユーザを安全に管理

GNOME System Tools は、コンピュータ上のユーザの管理を簡単かつ安全にできるよう、多くの改良がなされました。GNOME System Tools は PolicyKit を認証に使うようになり、ユーザやサービスを管理するためのアンロックボタンを削除しました。

ユーザを作成するダイアログが改良され、新しいユーザの姓名のみを入力すると、自動的にユーザ名を提案するようになりました。アカウントを作成するとすべてが「すぐに動きます」! 新しいユーザのホームディレクトリを暗号化するサポートも追加されました。

管理権限を間違って失ってしまうことがなくなりました。パスワードを変更する前に現在のパスワードを尋ねるようになり、キーリングや暗号化されたホームディレクトリが壊れたりしなくなりました。ユーザアカウントを削除する時に、ユーザのホームディレクトリを削除する機能はオプションになりました。

既存のユーザの管理では、特殊でわかりにくい権限から選択するのではなく、特定のアカウントの種類から選択できるようになりました。これによって他のユーザの権限を追加したり削除したりするのが簡単になりました。

3.5. 自分が何をやっているのかを把握する

時間と仕事を記録していくタイム・トラッカー アプレットには多くの改善点があります。

パネルのアプレットに加え、まったく新しいスタンドアロンモードが作成されました。ディストリビューションにもよりますが、タイム・トラッカーは GNOME メニューの アプリケーション ▸ アクセサリ ▸ タイム・トラッカー にあります。

アクティビティのレポートを見たり作成するのが改良され、アクティビティにタグを作成できるようになり、アクティビティをいろんな切り口でフィルタして概観することができるようになりました。

図 4アクティビティタグを表示中のスタンドアロンのタイム・トラッカー

3.6. PDFの管理

Evince ドキュメント・ビューアでは印刷機能が改良されました。ページ設定が印刷ダイアログに埋め込まれ、拡大縮小のオプションをサポートするための新しいタブが追加されました。

Microsoft Windows® 用 Evince で印刷、PostScript とコミックブック形式がサポートされるようになりました。

Evince に追加された他の機能としては、色の反転モードの追加、プレゼンテーションモードの更新、PDF の添付ファイルへのアノテーション、リモートファイルのサムネイル作成のサポート、といったものがあります。

3.7. ウェブのブラウズ

Epiphany ウェブブラウザは新機能の追加だけでなく、たくさんのバグとリグレッションがフィックスされました。

Epiphany では gnome-keyring によってパスワードを記憶することができるようになりました。

Epiphany に、Flash や Java など、すべてのプラグインを有効にしたり、無効にしたりできる新しい設定オプションが追加されました。壊れた SSL 証明書を持つウェブサイトを表示すると、Epiphany が警告するようになりました。

Epiphany に復帰した機能は以下のとおり:

  • 印刷のプレビューが戻ってきました。
  • ウェブページで右クリックして画像などのオブジェクトをダウンロードして保存できます。
  • favicon のサポートが戻ってきました。
  • 「上へ」のナビゲーション用の矢印が帰ってきました。
  • マウスで真ん中のボタンをクリックすると、クリップボードの内容がはり貼り付けられます。
  • Epiphany のコンテキストメニューが帰ってきて、Google Docs などで使用されているカスタマイズされたページメニューがある場合でも正しく動作するようになりました。
図 5Epiphany ウェブ・ブラウザ

Epiphany は高度な設定項目を GConf で設定可能なオプションとして追加しました。User-Agent ヘッダやデフォルトの検索エンジンを直接 GConf で変更できるようになりました。

Epiphany-extensions にも新しいものが追加されました。html5tube は YouTube の Flash を HTML5 で置き換えて、Flash をインストールする必要がなくなりました。tab-key-tab-navigate プラグインは Ctrl+Tab でタブを変更することができます。sidebar 拡張は無くなりました。

3.8. 遠隔接続

GNOME デスクトップ用のリモートデスクトップクライアント Vinagre が SSH トンネリングをサポートするようになりました。これによって遠隔のマシンに SSH トンネル経由でよりセキュアにアクセスできます。リモートに SSH のアカウントが必要です。そうすれば、パスワードや安全に接続するのに知っているべき他の情報を入力することができます。

低帯域の接続を使ったクライアントへの接続は小さい色の depth の選択によって帯域幅を節約し、JPEG 圧縮を有効にすることによって簡単になりました。これらのオプションは Vinagre の接続ダイアログで利用可能です。

新しいリスナーモードが追加され、表示し、コントロールしようとしている遠隔のデスクトップがこちらへ接続するのを許可できるようになりました。これは遠隔接続がファイアーウォールやルータの向こう側にあり、通常の接続プロセスでは到達不能な場合に役に立ちます。Vinagre でリスナーモードを有効にし、自分の IP アドレスを接続しようとしている相手方に通知することで、リモートクライアントがこちらへ接続することができます。

3.9. えーと、まだまだあります...

前述した大きな変更の他にも小さな追加や (毎度おなじみの) 改善点をいくつか紹介します。

  • Nautilus でフォントをダブルクリックすることで、新しいフォントをインストールできます。
  • gedit テキストエディタ は、Mac OS® X への移植が改善し、また、Python プラグインが Windows 版でも動作するようになりました。Gedit のコード・スニペットプラグインが新しい補完フレームワークに移植されました。スペルチェックプラグインがプログラミング言語中のコメントや文字列に対しても使えるようになりました。
  • 複数のキーボードレイアウトを選択すると、通知エリアにステータスアイコンが自動的に出現します。
  • 開こうとしているアーカイブの形式のサポートがインストールされていない時、書庫マネージャ が必要なパッケージを PackageKit を使ってインストールするようになりました。
  • Brasero は cdda2wav プラグインによってより正確にオーディオCDをコピーできるようになりました。Brasero は PackageKit と統合され、Tracker を使って検索をサポートするようになりました。
  • GNOME 端末 で無制限にスクロールで戻ることができるようになり、色や太さも保持するようになりました。
  • iPod®iPod Touch® が、libimobiledevice ライブラリのおかげで、部分的にではありますが gvfs でサポートされるようになりました。音楽の同期、データアクセス、そして写真のダウンロードが完全にサポートされるはずです。 サポートされる機能の完全な一覧は libmobiledevice ホームページ をどうぞ。
  • gcalctool が新しい、簡単なユーザインターフェイスを搭載しました。関数、たとえば正弦関数は k の代わりに s_i_n のように入力できるようになりました。
  • 多くのバグ修正に加え、GNOME パネルは画面の解像度を変えた時にアプレットの位置がでたらめに変わってしまうという、長いこと修正できていなかったバグを解決しました。
  • GNOME キーボード表示器が GNOME アプレット から削除されました。複数のキーボードレイアウトを使っているなら、GNOME キーボード表示器が gnome-system-daemon によってトレイに自動的に出現します。
  • GNOME コントロールセンターの GNOME キーボード設定の GUI が更新されました。
  • GNOME ゲームでは、Gnometris が Quadrassel に改名され、Same GNOME が Swell Foop になりました。Swell Foop と Gnibbles は二つとも Clutter ベースの 3D アクセラレーションエンジンを使うようになりました。

4. 新しくなったこと 〜アクセシビリティ〜

GNOME には、コンピュータを使うのに困難が伴うような障害を持つユーザや開発者を含め、誰もがソフトウェアを楽しめるようにする情熱があります。これを支援するため、GNOME は GNOME アクセシビリティ・プロジェクトを立ち上げ、libre (自由な) デスクトップでは今や標準となったアクセシビリティ・フレームワークを開発しました。

GNOME 2.30 ではいくつかの改良点を含め、引き続きアクセシビリティの資格認定レベルを維持した状態で構築されます。

4.1. Orca スクリーンリーダ

Orca スクリーンリーダは、この GNOME 2.30 リリースに向けて 160 個を越えるバグを修正しパフォーマンスが改善されました。それらの改善には次のものが含まれます:

  • 設定用ユーザーインターフェイスを更新し、Orca のネットブック上での動作を改善しました。
  • orca --replace を実行すれば、他の実行中の Orca のプロセスを強制的に終了し、新しい Orca のプロセスを起動できるようになりました。
  • Orca に新しい「情報」ダイアログが追加されました。

4.2. 他のアクセシビリティ関連の更新

GNOME アクセシビリティでの多くの作業により、Bonobo を除去しました。AT-SPI の D-Bus 実装が CORBA 実装と同様に動作するようになりました。GNOME 2.30 は CORBA の実装をサポートする最後のリリースになります。そして、GNOME 3.0 では CORBA を D-Bus で置き換えます。

GNOME をすべての人々にとってアクセスしやすいものとする情熱を持っているなら、今はアクセシビリティチームに参加する良い機会です。GNOME を障がい者の人々にとってもより良いものとなるよう手伝ってください。詳しくは GNOME アクセシビリティメーリングリスト に参加してください。

5. 新しくなったこと 〜開発者向け〜

次に示す内容は GNOME 2.30 のプラットフォームを利用する開発者には知っておいてもらいたい重要な変更点です。この内容に特に興味がないのであれば、このセクションを飛ばして次の「セクション 6 - 国際化」をご覧下さい。

この GNOME 2.30 はデスクトップだけではなく開発者向けのプラットフォームとしてもまた最新版です。GNU LGPL の下で利用できる API や ABI が安定した一連のライブラリは、クロス・プラットフォームのアプリケーション開発に利用できます。

非推奨のライブラリの利用

GNOME 3.0 から、非推奨な (Deprecated) さまざまな GNOME のパーツが削除されます。対象となるコンポーネントには libart_lgpllibbonobolibbonobouilibgladelibgnomelibgnomecanvaslibgnomeprintlibgnomeprintuilibgnomeuilibgnomevfs といったライブラリが含まれています。GNOME デスクトップの一部として提供されているアプリケーションに対しては「整理すべき項目の一覧」に従って、廃止になったコードの使用を無くしていく予定です。これにより GNOME 3.0 へのスムーズな移行を実現します。

開発者は自分のアプリケーションについて、このルールに従うことが強く求められています。なお、 この作業に関して何か手伝いたいと考えている開発者 (または挑戦してみたいと考えている開発者) のために、GNOME goals の Wiki には未だ完了していない作業の一覧が用意されています。jhbuld ビルド・ツールでサポートされているモジュールについては、残っている作業の概要が自動生成・更新されており、ここで見ることができます。

5.1. プラットホーム・クリーンナップ

GNOME 3.0 に向けて、非推奨のモジュールや機能を削除する大きな努力が成されてきました。

また、多くのアプリケーションで GTK+ や GLib の非推奨のシンボルの使用を取り止めました。GTK+ や GLib のトップレベルのヘッダのみを include するという新しいポリシーを適用しました。

5.2. GTK+ 2.20

GTK+ のバージョン 2.20 は GTK+ ツールキット・ライブラリの最新版で、GNOME のプラットフォームの「心臓部」に相当します。GTK+ 2.20 には、次期バージョンの GTK+ 3.0 に向けたコードの整理や、大規模なバグの修正、開発者向けの新しい機能が含まれています。

GTK+ には以下を含む他の多くの改善点があります:

  • スロッバーウィジェット GtkSpinner と、セルレンダラ GtkCellRendererSpinner が追加されました。
  • GtkToolPalette はツールアイテムを折りたたみ可能なグループとして表示する新しいコンテナです。
  • GtkNotebook に次のタブに移動するアクションウィジェットを含めることができます。

5.3. Empathy

libempathylibempathy-gtk は削除されました。開発者は telepathy-glib を代わりに使ってください。

5.4. Anjuta

Anjuta のコード補完機能が改良され、C や C++ の .->:: なども補完されるようになりました。

コード補完は今や完全に非同期に動作するようになり、タイプするのに邪魔になることがありません。

Anjuta ではシンボルマネージャで Vala のシンボルをサポートするようになりました。コードの補完やデバッグ、ビルドなど JavaScript のフルサポートも行うようになりました。automake を使わないプロジェクトも簡単ながらサポートするようになりました。

5.5. GNOME プラットフォームの改善点

GNOME 2.30 での他の GNOME プラットフォームの改善点:

  • EvolutionEvolution-Data-Server は GNOME 3.0 に向けて、Bonobo を完全に削除しました。Evolution-Data-Server は同じクライアント側の API の後ろで D-Bus を使うようになりました。
  • Brasero では libbrasero-medialibbrasero-burn で GObject-introspection をサポートするようになりました。
  • GNOME 拡大鏡 gnome-mag は Bonobo のサポートが非推奨になったため、D-Bus をサポートするようになりました。
  • Devhelp にフルスクリーンモードが追加されました。また、ローカルでシンボルが発見できない場合、library.gnome.org を見にいくようになりました。
  • GLib にストリーミングデータを変換する汎用的なインターフェイスである GConverter を追加しました。g_type_init() が呼ばれた時にスレッドが自動的に有効になるようになりました。
  • gnome-keyring が新しく「シークレットサービス」を実装しました。デスクトップ横断的なパスワードストレージのための D-Bus API です。

6. 国際化

GNOME 翻訳プロジェクト (GTP) のメンバーによる全世界規模的な努力のおかげで、GNOME 2.30 では 50 の言語 (最低 80% 以上翻訳済) をサポートするに至りました。ユーザおよびシステム管理者向けマニュアルの翻訳も多くの言語で含まれています。

サポートしている言語:

  • アストゥリアス語
  • アッサム語
  • アラビア語
  • イタリア語
  • ウクライナ語
  • エストニア語
  • オランダ語
  • オリヤー語
  • カタロニア語
  • カンナダ語
  • ガリシア語
  • ギリシア語
  • グジャラート語
  • スウェーデン語
  • スペイン語
  • スロベニア語
  • セルビア語
  • タイ語
  • タミル語
  • チェコ語
  • テルグ語
  • デンマーク語
  • トルコ語
  • ドイツ語
  • ノルウェー語 (ブークモール)
  • ハンガリー語
  • バスク語
  • パンジャブ語
  • ヒンディー語
  • フィンランド語
  • フランス語
  • ブラジル系ポルトガル語
  • ブルガリア語
  • ヘブライ語
  • ベトナム語
  • ベンガル語
  • ベンガル語 (インド)
  • ポルトガル語
  • ポーランド語
  • マラヤーラム語
  • マラーティー語
  • リトアニア語
  • ルーマニア語
  • ロシア語
  • 中国語 (中国)
  • 中国語 (台湾)
  • 中国語 (香港)
  • 日本語
  • 英語 (アメリカ、イギリス)
  • 韓国語

この他にも多くの言語を部分的にサポート (最低 50% 以上翻訳済) しています。

GNOME ほどの規模のソフトウェアパッケージを新しい言語に翻訳していくことは、たとえ専門の翻訳チームがあったにしろ「半端のない作業」になります。今回のリリースではアストゥリアス語チームの非常に素晴しい努力により、アストゥリアス語での翻訳率が 27ポイント以上も向上し、その言語を完全にサポートしていると言うことのできる 80% の区切りをすぐに越えました。シェイヴィアン文字チームもGNOMEの翻訳に2.30リリースサイクル中に開始し、すでに70%までに達し、ほとんどその言語をサポートした、とまで言えるところまでになっています。

詳細な翻訳率とその統計データは GNOME の翻訳ステータスのサイトをご覧になってみて下さい。

7. GNOME のインストール

仮想マシン上に GNOME 2.30 に含まれる全てのソフトウェアを一枚の CD に収めた GNOME Live Media を使って、GNOME 2.30 を実際に体験してみることができます。 仮想マシンのイメージを使うことで、最新の GNOME を QEMU、KVM、VirtualBox、あるいは VMWare で試せます。GNOME Live Media は GNOME の BitTorrent のサイトからダウンロードできます。

GNOME 2.30 を新規にインストールしたりアップグレードするのであれば、お使いの環境のベンダーまたはディストリビューションの公式パッケージを手に入れることをお勧めします。著名なディストリビューションであれば、すぐに GNOME 2.30 を利用できるようになるでしょうし、既に GNOME 2.30 が含まれた開発版がリリースされている場合もあります。GNOME のパッケージを配布しているディストリビュータの一覧とそのバージョンについては Get Footware のページをご覧になってみて下さい。

もしあなたが勇敢で忍耐強く、GNOME をソースからビルドしたいのであれば、Git リポジトリから GNOME の最新版をビルドすることのできる JHBuild をお勧めします。この JHBuild では gnome-2.30 というモジュールセットを使って GNOME 2.30.x をビルドすることができます。

正式にリリースされた tar ball から直接 GNOME をビルドしていくことも可能ではありますが、我々は JHBuild を使うことを強く推奨します。

8. GNOME 3.0 に向けて

GNOME の開発は、GNOME 2.30 で終わりというわけではありません。2.30 をリリースしたきっちり半年後には、次の GNOME 3.0 をリリースできるようにするために、もう既に作業が始まっています。

GNOME 3.0 では引き続き従来のデスクトップ・プラットフォームとアプリケーションを提供しますが、GNOME Shell の新しいユーザ・インターフェイスや、GNOME Activity Journal によるコンピュータ上のファイルの簡単な閲覧や検索も売りにするかもしれません。開発者向けには、GNOME 3.0 ではアクセシビリティでの新機能、新しいユーザ向けのヘルプやドキュメント、GNOME の初めてのウェブサービス「Tomboy Online」、といったものを追加します。開発者向けとしては、GNOME 2.30 では多くの古いライブラリを非推奨にします。

GNOME Shell プレビュー版は 2.30 で利用可能で、ダウンロードできます。GNOME Shell はコンポジット・デスクトップの力を使った革新的で新しいユーザ・インターフェイスが特徴的です。GNOME Shell によって新しいワークスペースを追加したり、頻繁に使うアプリケーションを起動したり、良く使うファイルや文書にアクセスするのが簡単になります。

図 6GNOME Shell

GNOME Activity Journal はコンピュータのファイルを閲覧したり探し出したりするのが簡単になるツールです。ファイルの変更履歴を時間順に記録し、タグを付け、ファイルのグループ間を関連付けます。GNOME Activity Journal は、タグ付けやアイテムのブックマーク機能を持つ、デスクトップ上の活動履歴を記録する Zeitgeist エンジンのグラフィカル・ユーザ・インターフェイスです。

図 7GNOME Activity Journal

Tomboy Online も GNOME 3.0 に予定されています。ウェブ経由で Tomboy のメモを同期したりアクセスしたりできるようになります。

障がい者のために、GNOMEアクセリビリティチームではたくさんの機能追加を予定しています。新しいGNOME拡大鏡、新しいオンスクリーンキーボード Caribou、新しい設定画面のユーザーインターフェイスなどです。

ユーザーヘルプや文書に、GNOME初心者への助けとなるような新しいGNOMEユーザーガイドが登場します。GNOMEヘルプブラウザのYelpにブックマークや検索機能の改良といった機能追加があります。

GNOME ロードマップ には次のリリース・サイクルに対する開発計画の詳細がまとめられてます。GNOME 3.0 のリリース・スケジュール も今年始めには公開されており、GNOME wiki で入手できます

9. 謝辞

このリリース・ノートは、GNOME コミュニティからの助けを得て Paul Cutler 氏が編集しました。翻訳は日本語翻訳チームの佐藤暁、相花毅の過去の翻訳成果をベースに、草野貴之、松澤二郎、赤星柔充、西堀清貴が行いました。コミュニティを代表して、この GNOME のリリースを実現した開発者と貢献者に感謝の念を捧げます。

このリリース・ノートの成果を自由に翻訳して頂いて構いません。もしあなたの言語に翻訳したいのであれば GNOME 翻訳プロジェクトまで連絡して下さい。