GNOME 2.10 リリース・ノート
- 1. はじめに
- 2. GNOME 2.10 で新しくなったこと
- 3. システム管理、ユーザ、そしてアクセシビリティのガイド
- 4. 国際化
- 5. いろいろな標準規格への準拠
- 6. GNOME 2.10 のインストール
- 7. 既知の問題
- 8. GNOME 2.12 とそれ以降に向けて
- 9. 参加するには
- A. 謝辞
1. はじめに
GNOME 2.10 デスクトップは、人気のあるマルチ・プラットフォーム指向でフリーなデスクトップ環境の最新版リリースです。
今回も GNOME デスクトップのリリースは予定どおり運んでいます。GNOME 2.10 には興味ある新しい機能が含まれ、数百個にも及ぶバグが修正されています。今リリースでは、新たにビデオ・プレイヤーと CD 切り出しツールが追加されました。その詳細について、これ以降のセクションでもっといろいろ知ることになるでしょう。
GNOME は、過度な複雑さや不明瞭な機能などを省き、ごく普通のユーザ・レベルを対象として "Just works (きっちり動作する)"、ユーザにやさしい環境を提供します。と同時に、エキスパートな開発者レベルが要求するような (リッチな) 柔軟性をも提供しています。
GNOME は、(一般的に Linux と呼ばれる) GNU/Linux、Solaris、HP-UX、BSD、そして Apple の Darwin を含む、さまざまなプラットフォーム上で動作します。GNOME は国際レベル (world-class) でスムースなテキスト描画、第一級 (first-class) のアクセシビリティ・インフラストラクチャ、そして (英語や日本語、加えてアラビア語などの) 双方向性テキストのサポートを含む完成された (complete) 国際化インフラストラクチャといったパワフルな機能を提供します。
もちろん GNOME 2.10 では、GNOME 2.8 の リリース・ノート の中で紹介されている、GNOME 2.8 で達成した改善点の全てを継承します。
このリリースには、デスクトップとして基本的なユーザ機能を提供するアプリケーションの全てを含んでいます。Gnumeric や OpenOffice.org といった、他の有名なアプリケーションも利用できますが、これらのアプリケーションは今回の GNOME リリースに含まれておらず、それぞれ自らのリリースサイクルに沿って並行して開発されています。
GNOME は GNU プロジェクトの一部であり、フリー・ソフトウェア です。
このリリースに関する情報や GNOME デスクトップの一般的な情報については、直接、セクション GNOME 2.10 で新しくなったこと に進むか、あるいは右側にあるリンク・バーを利用して下さい。
2. GNOME 2.10 で新しくなったこと
- 2.1. デスクトップ
- 2.2. いろいろなアプリケーション
- 2.3. コントロール・センター
- 2.4. パネルのアイテム
- 2.5. ユーティリティ
- 2.6. システム管理
- 2.7. ゲーム
- 2.8. プラットフォームの改善
2.1. デスクトップ
- 2.1.1. ファイル・マネージャ
- 2.1.2. ウィンドウの動作
2.1.1. ファイル・マネージャ
Nautilus という名前でも知られている、ファイル・マネージャは GNOME 2.10 でさらに高速に、そしてさらに動作が安定しました。その内部アーキテクチャの改善と修正の賜です。これにより、将来的にも開発者はファイル・マネージャをもっと簡単にメンテしたり拡張できるようになります。
さらに、Mozilla や Firefox といった他のアプリからのドラッグ&ドロップが、より滑らかな動作になりました。
加えて、GNOME のポリシーに沿った、ちょっとした細かい配慮を含む小さな変更がたくさんあります。たとえば、
- パス・ボタン (ウィンドウ左下のステータスバー横のボタン) がさらに分かりやすく一目瞭然になりました。
- 新しいファイルを生成すると、名前の変更が自動的に始まります。
- 親フォルダを開くキーボード操作 ([ALT]+[↑]) を行うと、現在のフォルダが選択されます。
GNOME 2.10 では背景や背景の模様などがプレ・インストールされるようになり、オリジナルのデスクトップに仕立てることが可能になりました。
2.1.2. ウィンドウの動作
初めは気づかないかもしれませんが、GNOME 2.10 には、もう一つの Freedesktop.org 標準 (クロス・デスクトップ) を実装することで、新しい機能が追加されています。
GNOME 2.8 では、何かアプリケーションに入力している最中に、あなたの友人から突然インスタント・メッセンジャーで話しかけてきたら、メッセンジャーのウィンドウにそのまま入力されてしまいました。もしパスワードを入力している最中にそのような事態が発生するときの危険性を想像してみて下さい。GNOME 2.10 では、そのような入力状態にならないよう対策が取られました。
さらに、アプリケーションの起動に長い時間を要する場合、最終的にウィンドウが開いたときでも作業中の動作を中断させられるということはありません。
2.2. いろいろなアプリケーション
- 2.2.1. ビデオ・プレイヤー
- 2.2.2. 楽曲の切り出し
- 2.2.3. ウェブ・ブラウザ
- 2.2.4. Evolution
- 2.2.5. GnomeMeeting
2.2.1. ビデオ・プレイヤー
GNOME の GStreamer マルチメディア・フレームワークを利用した、人気のある Totem ビデオ・プレイヤーがついに GNOME 2.10 への仲間入りをはたしました。Totem では、GNOME ユーザが期待するような直感的なインタフェースを提供し、複雑な設定に代わって自動的なハードウェア検出機能を搭載しています。
2.2.2. 楽曲の切り出し
大好評だった Sound Juicer "CD リッパー" は、後でお使いの PC や携帯型の音楽プレイヤーで再生するために、いろいろな CD から楽曲を手軽に切り出すためのツールです。曲目を自動的にダウンロードしてくれるおかげで、ボタンを二回以上クリックする必要はありません。
2.2.3. ウェブ・ブラウザ
GNOME 標準のウェブ・ブラウザ "Epiphany" は Mozilla をベースに GNOME デスクトップ環境に全て統合したものになっています。GNOME 2.10 での改善点にはつぎのようなものが含まれます
- フルスクリーン (全画面) モードが改良されました
- 表示しているサイトが安全であるかどうかを場所バーで分かるようになり、そしてサイトの favicon が表示されるようになりました
- ブックマークをエキスポートできるようになりました
- 追加プラグイン用のマネージャが搭載されました
2.2.4. Evolution
GNOME で E-メールとグループウェアを統合したクライアント、Evolution は Novell Groupwise や Microsoft Exchange に加え、古典的なメール設定もサポートしています。Evolution を使って電子メールや連絡先、関連だのイベントといったものの読み書きが可能です。
GNOME 2.10 では、IMAP、LDAP、WebCal、Groupwise、または Exchange を使っている場合、電子メール、カレンダ、そして連絡先をオフラインで以前より簡単に処理できるようになりました。そして、オンラインに戻した際にその変更を再び同期できるようになりました。
新しいバージョンにはカレンダの改善点が含まれています:
- いろいろなファイルをイベントへ添付できるようになりました
- 再発イベントで例外を作成できるようになりました
- カレンダに天気予報を含めることが可能になりました (U.S のみ)
そして新しい機能も追加されました:
- Groupwise 共有フォルダと送信オプションがサポートされました
- Exchange フォルダのサイズ変更とパスワード有効期限切れの警告がサポートされました
- メールのユーザ・インタフェースが右から左へ記述する言語向けに正しくミラーされるようになりました
2.2.5. GnomeMeeting
GnomeMeeting を使うと、インターネット・テレフォニー (VoIP) やビデオ会議を通して他の人と会話することが可能です。GNOME 2.10 では、アドレス帳が Evolution のメール・クライアントと共有できるようになったので、一つ以上の連絡先の情報を入力する必要がありません。
そして、ローカル・ネットワーク上にいる他の GnomeMeeting ユーザらの連絡先を先に探すことなく参照できるようになりました。加えて、対話している相手の映像の横に自分自身の映像を並べて表示できるようになったので、相手がどんな映像を見ているか分かるようになりました。
2.4. パネルのアイテム
GNOME 2.10 には (アップレットとして知られている) GNOME パネルのアイテムに対する広範囲にわたる改良が含まれており、新しい機能やデスクトップで空いている部分ともっと旨く統合化する機能が提供されています。
最も大きな変更点は、アクション・パネルメニューの削除と場所とデスクトップ・メニューの追加です。これらのメニューの追加により、頻繁に利用するアイテムへ、サブメニューを長々とたどることなく、素早くアクセスできるようになりました。たとえば、場所メニューにはご自分のホーム・フォルダ、お使いのコンピュータ、ネットワーク化されたサーバが一覧になっており、検索機能も追加されています。デスクトップ・メニューには、設定やシステム管理に関するコントロール・パネル、ログアウト、そしてヘルプといったアイテムがあります。
全てのパネル・メニューが、クロス・プラットフォームに対応した Freedesktop.org のメニュー仕様で定義されるようになりました。そして、GNOME の仕様を知ることのないサード・パーティ製のソフトウェアもアプリケーション・メニューへ容易に登録できるようになります。
さらに、パネル自身を透明にした場合、同時に多くのアプレットを部分的に透明にすることができるようになりました。
- 2.4.1. 統合されたモデム・モニタ
- 2.4.2. パネルのゴミ箱
- 2.4.3. マウント済みのボリュームを制御する
- 2.4.4. ますます手の込んだお天気アプレット
- 2.4.5. サウンド・コントロール
- 2.4.6. メモを取る
- 2.4.7. 格別にラップトップ向け
- 2.4.8. 消えていったアプレットたち
2.4.2. パネルのゴミ箱
GNOME 2.10 ではお使いのパネルにオプションでゴミ箱を追加できます。デスクトップにあるゴミ箱と全く同じように、そしてオープンしているウィンドウをいちいち最小化することなく、不要になったファイルやアイテムをドラッグ&ドロップできるようになりました。
2.4.3. マウント済みのボリュームを制御する
GNOME 2.8 では、いろいろな CD、DVD、そして USB メモリ・スティックといったお使いのデジタル・メディアを簡単にマウントすることができました。GNOME 2.10 のディスク・マウンタは、デスクトップに散らばっているアイコンや開いたウィンドウの裏に隠れているアイコンをわざわざ探すことなく、これらのボリュームを利用するための手助けをしてくれます。このアプレットは、現在マウントしている (あるいはアンマウント可能な) ボリュームを表示し、それらをマウントしたり、イジェクトしたり、あるいはファイル・マネージャから開いたりすることが可能です。
2.4.4. ますます手の込んだお天気アプレット
お天気 GNOME は以前のバージョンよりもたくさんの場所の天気予報に対応するようになり、そしてその場所の名前は正しいロケーションを表すよう非 ASCII 言語に翻訳されるようになりました。さらに、天気予報では、そのほとんどの場所で日の入りと日の出を計算できるようになりました。
2.4.5. サウンド・コントロール
お使いのパネルに貼り付ける、新しいミキサー (デスクトップ上で新しい外観を持つミキサーと一体化したもの) がお使いのサウンド用ハードウェアからたくさんの情報を取得してくれます。GStreamer マルチメディア・フレームワークを利用して、このミキサーは以前のバージョンよりもシンプルに、そして便利なアイテムになりました。同様に、このマルチメディア・フレームワークは Totem、Sound Juicer、GNOME CD プレイヤー、そしていろいろなサード・パーティ製のアプリを動かしているので、パネルから音量を変更すると、全てのアプリケーションに対して適用されます。
2.4.6. メモを取る
人気のある付箋紙アプレットはインタフェースがよりシンプルになり、そしてたくさんのバグが修正されたおかげで、ポストイットなスタイルでより簡単に貼り付けることができるようになりました。たとえば、付箋紙は現在のワークスペースに貼り付いたままにしたり、別のモニタに貼り付けたりできるようになりました。
さらに、付箋紙は他のウィンドウの上に貼り付くので紛失する心配はありません。そのメモを隠すには、単にアプレットを右クリックして表示されるメニューから選択するだけです。
2.4.7. 格別にラップトップ向け
ついに GNOME にお使いのラップトップのプロセッサ速度を監視するためのアプレットが仲間入りを果たしました。CPU 周波数モニタは可変スピードのプロセッサ (たとえば、Intel (C) Speedstep または AMD (C) PowerNow といった機能を持ったもの) を監視して現在のステータスを表示してくれます。もし自動的な周波数計測が行えないなら、他のスピードを選択できるかもしれません。
2.4.8. 消えていったアプレットたち
GNOME 2.10 では三つのアプレットが削除され、もっと良いものに置き換えられました。
CD プレイヤーのパネル・アプレットが削除されたので、(音楽 CD がドライブにセットされていようがいまいが関係なく、) パネル上に CD プレイヤーが表示されることはありません。その代わり、音楽 CD を挿入すると GNOME CD プレイヤーが自動的に起動して、お使いのパネルにある通知スペースからプレイヤを制御することができるようになりました。
専用の無線アプレットが削除されました。無線もサポートしているネットワーク監視アプレットが GNOME 2.8 から導入されたためです。
メール・ボックス監視アプレットが、メンテナンスされなくなったため、そして動作が不安定であるとい理由で削除されました。将来、Evolution メール・クライアントと連動する新しい解決方法を探っています。もし Evolution クライアントを利用していないのなら、他のプロジェクトの mailnotify といったアプリケーションを利用できるでしょう。
2.5. ユーティリティ
GNOME ユーティリティには、次のような改善点がいくつか含まれています:
- 2.5.1. テキスト・エディタ
- 2.5.2. 書庫マネージャ
- 2.5.3. 辞書
- 2.5.4. フロッピー初期化ツール
2.5.1. テキスト・エディタ
The GNOME text editor can now highlight the current line and when editing program source code, it highlights matching braces. Spell checking is improved too. It now only highlights misspelled words when you have actually finished typing the word, and many extra languages are supported and automatically identified.
実際に全ての変更点が適用されていない時に、それらの変更点を保存するよう促されるダイアログを見なくて済むことは、多くの人達が支持してくれることでしょう。そして、以前のバージョンよりも増して起動が高速になりました。
2.5.2. 書庫マネージャ
GNOME 書庫マネージャでは AR、Debian、そして 7-zip 書庫、さらにパスワード保護された RAR 書庫といった、対応する書庫ファイルの数がさらに多くなりました。さらに、ファイル・マネージャでシングル・クリックで開く設定にしていると、書庫マネージャ内でもシングル・クリックで操作できるようになりました。
2.5.3. 辞書
GNOME 辞書では、どのようなスペルか分からない時に単語の候補を提示できるようになりました。さらに、定義にも外部の辞書のウェブサイトを指すリンクが含まれたり、複数の定義を出力できるようになりました。
2.6. システム管理
GNOME 2.10 ではシステム管理に対する新しい機能をいくつか提供しています。
2.7. ゲーム
GNOME はあなたが目的を達成するのを助けてくれますが、たまにその目標がそらされる場合があります。そんな時、GNOME ゲーム集を楽しんでみて下さい。
2.8. プラットフォームの改善
GNOME 2.10 開発プラットフォームではサードパーティのソフトウェアを開発する人達、そして GNOME デスクトップ自身に対する安定ベースを提供します。GNOME 2.10 は、前バージョンとの互換性の維持や API の安定性など、いくつかの小さな API の改善が含まれています。特に今回は次のような改善が含まれています:
- GTK+ バージョン 2.6 には、新しいセル描画機能、新しいボタン・ウィジット、アイコン・ビュー、そして新しい情報ダイアログが追加されました。
- GLib バージョン 2.6 には、より簡単になったコマンドライン・パーサの API が追加されました。
- プラットフォームのバインディングには、ついに gnome-python を介した GNOME 開発者向けプラットフォーム向けの Python API の完全版が含まれました。従来の C++ 言語や Java、Perl、そして Python のバインディングに加え、gtkmm、java-gnome、gtk2-perl、そして pygtk といったプロジェクトを介したバインディングが可能になります。
3. システム管理、ユーザ、そしてアクセシビリティのガイド
GNOME ドキュメンテーション・プロジェクト (GDP) の努力のおかげで、GNOME 2.10 は理解しやすく専門的なドキュメントを同梱することができました。フリー・ソフトウェアで最も完成された ドキュメンテーション・スタイル・ガイド を使って細部にまで注意が払われています。GNOME 2.8 同様に、GNOME 2.10 でリリースされた各アプリケーションには、このユーザーズ・ドキュメントが含まれています。
デスクトップ・ユーザ・ガイドを読んで GNOME の使い方を習得して下さい。ユーザ・ガイドと、システム管理や GNOME のアクセシビリティ機能を紹介するものを含めた、その他のドキュメントは GNOME について学ぶページ でご覧になれます。
4. 国際化
Christian Rose 氏と Kjartan Maraas 氏のリーダーシップの下、GNOME 翻訳プロジェクト (GTP) のメンバーによる全世界規模的な努力のおかげで、GNOME 2.10 では 33の言語をサポート (80% 以上のメッセージが翻訳されていること) するに至りました。
サポートしてる言語:
- アルバニア語 Albanian (500万人)
- ブラジル系ポルトガル語 Brazilian Portuguese (1億7500万人)
- ブルガリア語 Bulgarian (900万人)
- カタラン語 Catalan (700万人)
- 簡体字中国語 Chinese Simplified (10億人以上)
- 繁体字中国語 Chinese Traditional (4000万人)
- チェコ語 Czech (1100万人)
- デンマーク語 Danish (530万人)
- オランダ語 Dutch (2100万人以上)
- 英語 English (3億4100万人)
- フィンランド語 Finnish (500万人以上)
- フランス語 French (7500万人以上)
- ドイツ語 German (1億人)
- ギリシア語 Greek (1500万人)
- グジャラート語 Gujarati (4600万人)
- ヒンディー語 Hindi (3億7000万人)
- ハンガリー語 Hungarian (1450万人)
- イタリア語 Italian (6000万人)
- 日本語 Japanese (1億2500万人以上)
- 韓国語 Korean (7500万人)
- リトアニア語 Lithuanian (400万人)
- ノルウェー・ボックマル語 Norwegian Bookmal (500万人)
- パンジャビ語 Panjabi (6000万人)
- ポーランド語 Polish (4400万人)
- ポルトガル語 Portuguese (4300万人)
- ロシア語 Russian (1億7000万人)
- ルーマニア語 Romanian (2600万人)
- セルビア語 Serbian (1000万人)
- スペイン語 Spanish (3億5000万人以上)
- スウェーデン語 Swedish (900万人)
- タミル語 Tamil (6100万)
- トルコ語 Turkish (1億5000万人)
- ウクライナ語 Ukrainian (5000万人)
- ウェールズ語 Welsh (575,000人)
5. いろいろな標準規格への準拠
GNOME は freedesktop.org のようなグループと密接に連携しながら作業を進めています。標準規格をサポートすることは GNOME のユーザにとっても大きなプラスになります。GNOME、KDE、そして他のアプリケーションがもっと簡単に連携できるようになることで、相互運用性のサポートがユーザに与える印象も改善され、そして後述するオープンな仕様で、ユーザが使用したデータがプロプライエタリなフォーマットの罠に陥らないことを保証することの助けにもなります。
GNOME の開発者たちは、アプリの相互運用性を実現する標準規格の開発グループの Freedesktop.org と連携しながら、その他大勢のフリー・ソフトウェア・コミュニティと共に一生懸命作業を進めています。これらの標準規格には次のようなものがあげられます: 共有 MIME データベース、アイコンのテーマ、最近開いたファイル、メニュー、デスクトップのエントリ、サムネイルの管理、そして システム・トレイ の仕様です。加えて、GNOME では CORBA、XML、Xdnd、EWMH、XEMBED、XSETTINGS、そして XSMP といった標準規格もサポートしています。
6. GNOME 2.10 のインストール
GNOME 2.10 向けに LiveCD が用意されており、www.gnome.org のサイトからダウンロードできます。この LiveCD を利用すると、お使いのシステムに何もインストールすることなく、Linux 上で GNOME デスクトップの全てを試用することが可能です。これは、本バージョンで何が新しくなったかご自身で確認する最も良い方法です。
実際に使用する場合は、お使いの Linux ディストリビューション向けのパッケージといった、公式なパッケージのインストールをお薦めします。ディストリビューションの各ベンダは比較的早く GNOME 2.10 をパッケージ化し、GNOME 2.10 を含む新しいバージョンをリリースすることでしょう。
しかしながら、最新バージョンの動作をテストするため、その結果をフィードバックしたり改善要求を行うために、ソース・コードから GNOME をビルドする場合は、リリースされた tar ボールからビルドするユーティリティ GARNOME、そして CVS から直接ビルドするユーティリティ jhbuild を推奨します。
7. 既知の問題
リリースされた全てのソフトウェアには、開発者が知っているものの、様々な理由により、リリース前に修正されていないバグがいくつか混入されているケースがあります。こういうケースでフリー・ソフトウェアとプロプラエタリなソフトウェアとの間に違いはありませんが、フリー・ソフトウェアの場合、これらの問題をユーザへ伝えることができます。
さらに私たちはユーザにバグ報告してもらうことを奨励しているので、開発者らは問題を修正できます。GNOME で見つかったバグを報告する最良の手段は シンプルなバグ・ガイド を利用することです。このガイドは必要なステップを通して質の高いバグ報告を作成し、適切なタグが付与されているかチェックしてくれます。あなたが上級者ならば、従来のバグ報告シート も用意されています。 既に報告済みのバグの詳細については Bugzilla で参照することが可能です。GNOME 2.10 における最も重要なバグ報告は次のとおりです:
- 7.1. 既知の問題の一覧
7.1. 既知の問題の一覧
- Mozilla/Firefox で新しいウィンドウのフォーカスに関する問題: 既に Mozilla/Firefox のウィンドウが開いている状態で、さらに Mozilla または Firefox を起動した場合、新しいウィンドウにはフォーカスが当たらず、既にフォーカスが当たっているウィンドウの後ろに隠れた状態になるかもしれません。GNOME プロダクトの一つであり、Mozilla をベースとしている Epiphany ブラウザをご利用の場合はこの問題は発生せず、また Mozilla のハッカーらは将来のバージョンでこの問題を修正すべく直ぐに作業に入りました。
- セッション起動が一時的にハングする: おかしなセッション管理を介して起動されるアプリケーションが、ログインしてスプラッシュ・スクリーンが表示されてから数分間ハングする可能性があります。デフォルトのセッションにはそのようなアプリは登録されていないので、ログアウト時にセッションを保存した場合にのみ発生する問題です。もしこの問題に遭遇したら、そのままログイン処理を続行して、再びセッションを保存する前に問題のあるアプリケーションのエントリを削除して下さい。
8. GNOME 2.12 とそれ以降に向けて
GNOME は時間をベースにした考え方でリリースを行っており、われわれ開発者たちの努力の結果を可能な限り早く、継続的にユーザへ提供しようと考えています。 GNOME 2.10 の半年後には、GNOME 2.12 がもっとたくさんのマルチメディアやコミュニケーション機能を統合/強化し、アクセシビリティ、ユーザビリティ、国際化のさらなる成果を取り入れるものと考えてします。GNOME のロードマップ のページも参照して下さい。
9. 参加するには
GNOME の成功の鍵は、多くのボランティア、たくさんのユーザと開発者たちによるものです。
1ユーザとして、あなたが貢献できることは簡単で、良いバグ報告を提出することです。簡易バグアシスタント を使うと、我々の Bugzilla へバグを報告できます。もっと貢献したいと希望をお持ちならば、bug-squad に参加することも可能です。
開発者向けには、活発な開発者のグループ - アクセシビリティ、ドキュメンテーション、ユーザビリティ、翻訳、ウェブ、テスト、グラフィックス、そしてデスクトップ & プラットフォームの開発 - の中で、とてもエキサイトするような作業があります。これらのサブ・プロジェクトの多くは、決断を下すのを手助けしてくれるガイド があります。
GNOME を支援することは、信じられないくらい満足いく経験となり、幅広く刺激のある知識を持った人たちに出会え、同じ目標に向って作業する人たちを助けることになるでしょう。今日から参加して、何か別の世界を見てみて下さい。