チェスのルール

3.1. チェスのルール

チェスは8行(ランクと呼ばれ、1から8の数字で示されます)、8列(ファイルと呼ばれ、aからhの文字で示されます)の四角いボードでプレイします。64のマス目は白黒の格子模様に配置されており、それぞれ "白マス"、"黒マス" と呼ばれます。チェスボードは両プレイヤーから見て手前右側に白マスがくるように配置され、駒は図で示すように、お互いのクイーンが持ち駒の色と同じマスになるように配置します。

それぞれのプレイヤーは16個の持ち駒でゲームを開始し、持ち駒はキングが1個、クイーンが1個、ルークが2個、ビショップが2個、ナイトが2個、そしてポーンが8個からなります。白のプレイヤーは白の駒を動かし、黒のプレイヤーは黒の駒を動かします。そして白が常に最初に駒を動かします。どちらの色を選択するかはトス、またはトーナメント・ディレクターにより、友好的な合意にもとづき決定されます。プレイヤーは1度に1つの駒を、交互に動かします(キャスリングにより1度に2つの駒を動かす場合は例外です)。駒は、空いているマス、または敵の駒のいるマスから駒をキャプチャして移動させます。(ちなみに)すべての駒は、敵の駒が占有しているマスから敵の駒をキャプチャして、そのマスに移動することができます。

3.1.1. キング

キングが1つ(または2つ)の敵駒からアタックされた場合、プレイヤーはチェックされたといいます。チェックされたときは、キングをアタックから逃す指し手だけが許されます。キングがチェックされている場合、プレイヤーはチェックから逃れる以外の手を指すことはできません。ゲームの目的は敵をチェックメイトすることにあります。チェックメイトとは敵のキングがチェックされて、アタックから逃れる指し手が無い状態のことです。

キングは縦、横、または斜めに1マスだけ動くことができます。ゲームでは1度、キャスリングという特別な方法で、お互いのキングを2マス動かすことができます。キャスリングとは、キングをルークに向かって2マス動かしてから、キングが飛び越えてきたマスにルークを動かすことです。キャスリングは以下の条件がみたされたときに行うことができます:

  • キャスリングする前にキングとルークを1度も動かしていない。
  • キングとルークの間に駒がない。
  • キングが現在チェックされておらず、キングが飛び越すマスが敵のアタックを受けていない。移動に際してキングがチェックを受ける場合、キャスリングはできません。
  • キングとルークは同じランクでなければならない(プロモーションされたポーンをキャスリングから除外するためです)。

3.1.2. ルーク

ルークは垂直、または水平方向の空いているマスに任意の数だけ動かすことができます(キングのキャスリングにおける特別な動きにも関連しています)。

3.1.3. ビショップ

ビショップは斜め方向の空いているマスに、任意の数だけ動くことができます。ビショップが動けるマスは常に同じ色のマスだという点に注意してください。この特徴から、プレイヤーはビショップを、"白マスのビショップ"、または"黒マスのビショップ" と呼んだりします。

3.1.4. クイーン

クイーンは、水平、垂直、または斜めの空いているマスに、任意の数だけ動くことができます。

3.1.5. ナイト

ナイトは占領されたマスを飛び越えて、水平方向に2マスと垂直方向に1マス、またはその逆(水平方向に1マスと垂直方向に2マス)に、"L"字に動かすことができます。ボードの中央付近にいるナイトが動くことができるマスは8個あります。ナイトを動かすときは、毎回違う色のマスに動かすことに注意してください。

3.1.6. ポーン

ポーンを動かすルールは一番複雑です。ポーンは前のマスが空いている場合、前に1マス動かすことができます。もしポーンをまだ1度も動かしていない場合、マスが開いていれば2マス動かすことができます。ポーンは後退することはできません。初手にポーンを2マス動かしたときに動かしたポーンの横に敵のポーンがいる場合、敵のポーンは、ポーンが2マスではなく1マスしか動かなかったかのようにポーンをキャプチャすることができます。この動きは "アンパッサン" と呼ばれ、相手のポーンが2マス動いた直後の指し手でのみ有効です。ポーンは駒の動きと駒のキャプチャが異なる唯一の駒です。ポーンは1マス前の両隣(つまり斜め前)の駒をキャプチャすることができます。しかし、それらのスペースが空きマスの場合、そこに移動することはできません。もしポーンが進むことのできる8ランクすべてを進んでしまった場合、ポーンを同色のクイーン、ルーク、ビショップ、またはナイトにプロモーション(昇格)することができます。

3.1.7. 駒の動きに関するその他のルール

ナイトを除いて、駒を飛び越えて動かすことはできません。動こうとする線上に自分の駒("味方の駒")がいる場合は飛び越すことはできませんし、味方の駒同士の場所を交換するということもできません。敵の駒を飛び越すことはできませんが、"キャプチャ" することはできます。駒がキャプチャされた(捕られた)場合、アタックした駒を敵の駒がいたマスに移動します(アンパッサンだけは例外です)。キャプチャされた駒はゲームから取り除かれ、残りのゲームでは使用されません。キングはチェックされるだけで、キャプチャすることはできません。もし、プレイヤーがキングをチェックから逃れさせることができない場合はチェックメイトとなりゲームは敗北となります。

チェスのゲームはチェックメイトで終了しなければならないという訳ではありません — プレイヤーはお互いに状況が打開不能と思われる場合はリザインを行うことができます。ゲームがドロー(引き分け)で終了する場合もあります。ドローは、同意によるドロー、ステイルメイト、スリーフォールド・レピティション、50手ルール、チェックメイト不可能によるドロー(通常、チェックメイトに必要な駒の不足により発生)を含むいくつかの状況で発生します。

3.2. 時間制限付きのゲーム

新しいゲームを開始するときに指し手の制限時間を設定できます。制限時間を設定したゲームでは、それぞれのプレイヤーは定められた持ち時間を与えられ、自分の手番のときに時間が減っていきます。

3.3. ドローゲーム

ドローゲームとはどちらのプレイヤーの勝利でもなくゲームが終了することです。ほとんどのドローゲームはルールに基づく合意によるものです。それ以外にドローでゲームが終了するのはステイルメイト、スリーフォールド・レピティション、50手ルール、そして戦力不足の場合です。もしプレイヤーがゲームを通じて正しいプレイを行い、結局ドローで終わらざるを得ない局面に至った場合、他のプレイヤーによって講じられた手段にかかわらず、その局面はドロー(互角の局面)と呼ばれます。

3.3.1. ステイルメイト

ステイルメイトとは、手番のプレイヤーがキングをチェックされることなく動かす駒がない局面のことです。ステイルメイトは即座にドローとなります。

3.3.2. Threefold repetition

互いのプレイヤーの反則ではない指し手(アンパッサンとキャッスルも含まれます)の繰り返しにより、同一局面が3回出現した場合はドローとなります。

3.3.3. 50手ルール

50手の間、ポーンに動きがなくキャプチャもされていない場合、50手ルールによりゲームはドローとされます。

3.3.4. 戦力不足

すべてのポーンがキャプチャされ、片方に残されたのはキングだけで、もう一方はキングと1つのナイト、または1つのビショップしかないような終盤のシナリオです。この局面は優勢なプレイヤーが残りのゲームでチェックメイトをかけることが不可能なためドローとなります。この状況で可能なチェックメイトは、劣勢側が50手ルールの途中で失敗した場合のみです。