GNOME 3.18 Gothenburg の紹介

3.18 は GNOME の最新リリースであり、GNOME プロジェクトの 6 か月間の成果となるものです。新機能を搭載し、細かな改良や機能強化もたくさん加えています。今回のリリースは、全体でおよそ 772 の人々による 25112 件もの貢献のたまものです。

3.18 には“Gothenburg”という名前が付いています。これは、今年の GUADEC 運営チームに敬意を表して名付けられました。GUADEC とは、年一回行われる GNOME のメインカンファレンスであり、地元のボランティアの人たちの多大な尽力があってはじめて実現できるものです。2015 年はスウェーデンのヨーテボリ (Gothenburg) で開催されました。

Google Drive の統合

GNOME 3.18 では、ファイルアプリケーションやファイル選択ダイアログから Google Drive に直接アクセスできます。この機能を利用するには、オンラインアカウント設定で Google アカウントを追加するだけです。Google Drive が場所一覧サイドバーに自動で表示されるようになります。

設定を行えば、Google Drive に対する操作を他のファイルやフォルダーとほとんど同じように行うことができるようになります。ファイルは普通のアプリケーションで開くことができ、フォルダーは通常のフォルダーと同じように作成できます。

ファイルの改良点

ファイルアプリケーションや開く/保存ダイアログにある、場所一覧サイドバーに 3.18 で変更を加えました。他の場所という名称の新しい項目を追加し、ここにローカルおよびリモートの場所をまとめて表示するようになりました。これにより、大量の場所がサイドバーに勝手に表示されて、散らかることがなくなります。

時間の掛かる処理 (大量のファイルのコピーや移動など) についても改善があります。ヘッダーバーのボタンに進捗状況がされるようになりました。ボタンを押せば詳細な情報も確認できます。これにより、進捗をひと目で確認きるようになり、しばしば邪魔になっていた進捗表示ウィンドウを無くすことができました。

3.18 では、ファイルアプリケーションの使用感を向上させる細かな改善もたくさんあります。いくつかをご紹介します。

  • フォルダーの新規作成や、ファイルやフォルダーの名前変更にも改良があります。ダイアログやポップオーバーを使い、より分かりやすいフィードバックや手順をユーザーに提示するようにしました (この変更はユーザーテストの結果を受けて導入されました)。

  • 新しい検索機能を、開く/保存ダイアログに追加しました。キー入力するだけで自動的に検索が行われるようになり、他の GNOME アプリケーションとの一貫性も向上しました。

  • タッチスクリーンを使ってコンテキストメニューにアクセスできるようになりました。長押しするだけでメニューを開けます。

  • ファイルやフォルダーをドラッグしたときに、場所一覧サイドバーのドロップターゲットを目立たせるようにしました。これは、ドラッグ・アンド・ドロップを使ったブックマーク登録の操作をより分かりやすくするためです(この変更もユーザーテストの結果を受けて導入されたものです)。

  • フォルダーが空の場合や検索結果が無い場合に、分かりやすいプレースホルダーを表示するようにしました。

  • リモートの場所を検索するときに、再帰検索をデフォルトで無効にしました。これは、パフォーマンスへの影響を抑えるためです。

  • 最近開いたファイル一覧にも改良あります。各ファイルのフルパスを表示するようになりました。

ファームウェアの更新

今まで、コンピューターの BIOS などのファームウェアを GNOME 上で更新することは困難でした。しかしそれも、Linux Vendor Firmware Service によって、過去のものとなりました。この取り組みは、ハードウェアメーカーが GNU/Linux 用ファームウェアのアップデータを配布しやすくすることを目的としています。

Linux Vendor Firmware Service は、GNOME 3.18 に完全に統合されており、自動的に動作します。お使いのハードウェアのアップデータが提供されれば、GNOME ソフトウェアを通じて、他のソフトウェアと同じようにアップデータが自動で利用可能になります。

この機能は、リムーバブルデバイス (モニターや、USB ハブ、測色計など) のファームウェア更新にも使用できます。

新しいカレンダーアプリケーション

カレンダーは、新しい GNOME アプリケーションのひとつです。3.16 のときに、まずはプレビュー版として公開されました。デザインは他の GNOME 3 アプリケーションと統一されており、GNOME 3 と完全に統合されています。カレンダーは、GNOME アプリケーションスイートの新たな一員として非常に重要なものになります。見た目も美しく、簡単に使え、GNOME オンラインアカウントともしっかり統合されています。

最初の機能は、シンプルで直感的なものです。たとえば、月/年の表示切り替え、検索機能、ファイルやリモートの URL 指定によるカレンダー追加、オンラインアカウントとの統合、イベントの表示と編集機能などを備えています。

画面の明るさ自動調整

お使いのコンピューターに光センサーが搭載されていれば、GNOME 3 で画面の明るさ自動調整機能が利用できます。いつでも画面を見やすく保てるだけでなく、消費電力を抑えることにも役立ちます。明るさ自動調整を無効にするオプションが電源設定で提供されており、不要な場合はオフにすることができます。

新しい文字アプリケーション

文字は、GNOME 3.18 で導入された、もうひとつの新しいアプリケーションです。これを使うことで、句読点記号や見出し記号、通貨記号、数学記号など様々な文字を探してドキュメントやコミュニケーションで使用することができます。

文字を使えば、カテゴリー別におもしろい文字を見つけることができます。また、過去に使用した文字を記憶しており、同じ文字を繰り返し使用することも簡単にすばやくできます。他の機能としては、検索 (アクティビティ画面からアクセスできます) や、フォントによる絞り込み、インプットメソッドの設定に応じたロケール固有の文字を表示するセクションなどが利用できます。

GNOME 3.18 の入手

GNOME の各ソフトウェアは自由ソフトウェアです。すべてのソースコードはダウンロードして入手可能であり、修正、再配布も自由に行うことができます。インストールにあたっては、お使いのベンダーやディストリビューションが公式パッケージとして提供するまで待つことを推奨します。人気のあるディストリビューションでは、すぐに GNOME 3.18 が利用可能になるでしょう。開発版において GNOME 3.18 がすでに利用できるディストリビューションもあります。

GNOME について

GNOME プロジェクトは、国際的なコミュニティであり、非営利の GNOME Foundation によって支えられています。GNOME は、ユーザー体験の向上、第一級の国際化対応、およびアクセシビリティの改善に重点的に取り組んでいます。GNOME は自由でオープンなプロジェクトです。その意志があれば、あなたも参加できます