ユーザー体験にかかわるGNOME 3 コア部分の更新

GNOME 3.8 には、たくさんの新機能や機能強化があります。最新のコアユーザー体験にかかわる多くの改善のうち、いくつかを紹介します。

アクティビティ画面

新しいアプリケーションと検索結果画面に加え、アクティビティ画面のウィンドウセレクターも大きく改良しました。スペースの使用効率が改善し、ウィンドウのサムネイルがより大きく、認識しやすくなりました。さらにサムネイルのスケールが実際のウィンドウサイズを反映するようにもなり、認識しやすさがいっそう向上しています。こうした変更にともない、ウィンドウ切り替えもより効率的に行えるようになりました。

Ctrl キーを押しながらアプリケーションを起動すると、アクティビティ画面が開いた状態をキープできます。これは、以前と同様に、実行中のアプリケーションについては追加ウィンドウを開きます。

通知とメッセージング

GNOME 3.6 では、画面底部にポインターを移動させることでメッセージトレイを表示できました。GNOME 3.8 では、この操作に変更を加え、ポインターを画面底部に対して押し続ける操作に反応するようにしました。明示的な操作だけが、メッセージトレイを開くことができるというわけです。これにより、意図せずトレイが開くこともなくなり、さらにすばやく開くことができるようにもなりました。

GNOME 3.8 から、メッセージトレイのオープンとクローズ両方に、Super+M のキーボードショートカットが使えるようになりました。これにより、目立つメッセージや継続中の会話をチェックするのが本当に簡単になりました。

Super+N のショートカットも追加されました。通知が表示されているときにこのショートカットを使うと、通知を展開し、フォーカスを当てることができます。ユースケースのひとつとして、キーボードだけでチャットの通知に返事ができるようになります。

設定

GNOME 設定 アプリケーション (以前はシステム設定という名称でした) は 3.8 で大幅に改良しました。メインの設定インターフェースを改良し、新しい戻るボタンの追加、ツールバーのデザインの更新を行いました。この新バージョンでは、4 件の新規設定パネルを追加しました。

  • 通知: どのアプリケーションの通知を表示するか、またポップアップに含める情報量について設定します。この設定は、特に個人的な情報を画面に表示させたくない場合などに役立ちます。

  • プライバシー: 画面ロックの挙動、画面にユーザーの名前を表示するかどうか、ユーザーの最近の作業を表示する機能を有効にするかどうか、ゴミ箱一時ファイルを自動で削除するかどうか、を設定します。

  • 検索: どのアプリケーションがアクティビティ画面に検索結果を表示できるか、また、その表示順序について設定します。検索設定は、検索結果の内容についても粒度の細かい設定が可能です。

  • 共有: どのコンテンツを他のユーザーと共有するか、またリモートログインを可能にするかどうかを設定します。この設定には、パーソナルファイル共有画面共有メディア共有、およびリモートログインが含まれます。

他の設定パネルも大きく改良しました。新デザインとしては次のものがあります。

  • 地域と言語パネルのデザインを見直しました。新パネルでは設定の概要を簡単に把握でき、また、言語、インプットメソッドの選択を簡単に行える新ダイアログも設けました。

  • パネルもデザインを洗練させました。

  • ネットワークパネルも大きく改良しました。これには、Wi-Fi ネットワークリストの改善、新しい無線ネットワークの履歴ダイアログなどが含まれます。ネットワーク設定ダイアログの多くが、より使いやすくなるように改良されました。また、複数の有線設定プロファイルのサポートも追加されました。

  • 電源パネルも、省電力オプションに加えて、インターフェースを新しくしました。

  • プリンターパネルも多くのユーザーインターフェースの改良があります。Samba プリンターをサポートし、自動検出も行われるようになりました。

初期セットアップ

GNOME 3.8 には新しい初期セットアップアシスタントがあり、初めて GNOME を使用するときにすばやくセットアップができます。また、初期セットアップを使えば、新規のGetting Started ビデオチュートリアルにより、新しいユーザーも GNOME 3 について学ぶことができます。

オンラインアカウント

ownCloud は、フリーソフトウェアのパーソナルクラウドサービスで、ファイル、フォト、連絡先、カレンダーなどのオンラインストレージを提供します。商用の ownCloud プロバイダーを使用したり、自分自身でサーバーを運用することもできます。GNOME 3.8 では、統合的な ownCloud サポートを GNOME オンラインアカウントを通じて提供します。ownCloud アカウントのセットアップを済ませれば、GNOME アプリケーションは自動的にそのアカウントに接続します。それにより、ownCloud のファイルや連絡先、カレンダーにシームレスなアクセスができるようになります。

また、GNOME オンラインアカウント は、IMAP および SMTP メールアカウントもサポートしています。

ユニバーサルアクセス

3.8 では、GNOME のユニバーサルアクセス機能も強化しました。ハイコントラスト用のアプリケーションアイコンをより多く追加することで、ハイコントラスト機能を強化し、より完璧なものに近づけました。GNOME スクリーンリーダーアプリケーションの Orca はプロファイル切り替えの新機能を追加しました。プロファイルの切り替えをすばやく行うことができるようになり、多言語テキストおよび環境へのアクセスがいっそう容易になりました。

他の改良点

コアユーザー体験にかかわる、その他の改良には次のものがあります。

  • メッセージトレイと同様に、アクティビティ画面のホットコーナーも画面端を押し続けることで反応するように更新しました。これにより、ホットコーナーを誤って開いてしまうことが減ります。

  • GNOME アプリケーションのメタデータを見直し、3.8 開発サイクルで更新しました。これにより、アプリケーションの検索結果はより信頼できるものになりました。

  • 壁紙変更および、メッセージトレイクリアの新しいコンテキストメニューを追加しました。

  • システム操作のキーボードショートカットを更新し、一貫性を向上させました。詳細は、GNOME 3.8 の新しいキーボードショートカットを参照してください。

  • ログイン画面からセッションまでのアニメーション遷移を改良しました。アクティビティ画面内での遷移もいっそう洗練させました。