3.20 は GNOME の最新リリースであり、GNOME コミュニティの 6 か月間の成果となるものです。新機能を搭載し、細かな改良や機能強化もたくさん加えています。今回のリリースは、全体でおよそ 837 の人々による 28933 件もの貢献のたまものです。
3.20 には“Delhi”という名前が付いています。これは、今年の GNOME.Asia 運営チームに敬意を表して名付けられました。GNOME.Asia とは、毎年アジアで開催される、長年続く GNOME カンファレンスであり、地元のボランティアの人たちの多大な尽力があってはじめて実現できるものです。
ソフトウェアの更新は、以前から GNOME ソフトウェアを使って可能でした。ですが、3.20 からは、さらにオペレーティングシステムのメジャーバージョンのアップグレードもできるようになります。この機能は、GNOME でも初めて搭載されるものです。もはや、新規インストールを行ったり、コマンドラインツールを使ってディストリビューションの新バージョンを取得する必要はありません。OS アップグレード機能は、GNOME ベースのシステムがユーザーフレンドリーで誰にとっても使いやすいものになるための、大きなマイルストーンです。
OS のアップグレードはシンプルで簡単にできます。アップグレードが利用できるようになれば自動で通知されます。ファイルのダウンロード中は進捗情報をいつでも確認することができます。アップグレードの適用は、システムが稼働していないときに行われます。これは安全性を高めるとともにエラーを防止するためです。
Wayland は、GNU/Linux におけるディスプレイと入力のための次世代のテクノロジーです。Waylandは、これまでのグラフィック上の問題を取り除き、長期に渡ったバグを修正しています。また、よりセキュアなアプリケーションのための基礎を提供します。さらに、新機能としてタッチパッドでのマルチタッチジェスチャーのサポートなども利用できます。
GNOME を Wayland で使えるようにする取り組みは、ここしばらく継続的に行われており、3.20 でも膨大な作業が実施されました。3.20 で実現した機能としては、たとえばキネティックスクロールや、ドラッグアンドドロップ、アプリケーション起動時の通知、中クリックによる貼り付けなど様々あります。今回のリリースにより、Waylandが、大半のユーザーにとって日常的な使用に耐えうるものに仕上がったと言えます。Wayland 上で GNOME を試したい方は、ログイン画面のギアメニューから GNOME on Wayland を選択してください。
注意: Wayland 上の GNOME では、一部の機能が現状利用できません。たとえば、画面共有やワコムタブレットのサポートなどです。
3.20 で、写真アプリに編集機能を搭載しました。新しい編集コントローラーは、シンプルで使いやすくできています。編集を行っても元の画像を壊すことはありません。元の画像はそのまま残し、編集内容も元に戻すことができます。サポートする編集機能には、切り抜き、回転、色調整、写真補正などがあります。さらに選りすぐりのアーティスティックなフィルターを利用することもできます。
編集機能と合わせて、エクスポート機能も追加されました。エクスポート機能により、編集した画像の共有、印刷、バックアップなどができます。
最新の写真アプリには、バグフィックスや機能改善もたくさん含まれています。
GNOME アプリケーションのショートカットを把握できるように、新しくショートカットウィンドウを提供します。ショートカットウィンドウでは、アプリケーションごとにキーボードショートカットとマルチタッチジェスチャー (タッチパッドなど向け) の一覧を、その機能の説明と共に整理しています。ショートカットはカテゴリごとにグループ分けされ、またウィンドウひとつに収まりきらない大量のショートカットも複数ページに整理して見やすくなっています。さらに検索機能も搭載し、お探しのショートカットを簡単に見つけることができます。
3.20 でショートカットウィンドウを提供する GNOME アプリケーションはたくさんあります。たとえば、ファイル、ビデオ、写真、ビルダー、地図などで利用できます。各アプリケーションのショートカットウィンドウは、アプリケーションメニューから開くことができ、あるいは Ctrl+? か Ctrl+F1 のショートカットで開くこともできます。
GNOME 3.20 では、メディアコントローラーを GNOME Shell に組み込み、通知/時計エリアに表示するようになりました。これにより、使用中の音楽やビデオアプリにすばやくアクセスできます。複数のメディアアプリのコントローラーを同時に表示することも可能です。
コントローラーには、再生しているトラックのタイトルやアーティストが表示されます。一時停止やレジューム再生はもちろん、前方スキップ、後方スキップなどの各種操作が可能です。この新機能は、MPRIS 標準を使用しており、多くのメディアプレーヤーで利用することができます。
3.20 は、Polari (GNOME の IRC アプリ) にとって重要なリリースとなるものです。前回のリリースで導入したオンラインペーストサービス機能は、継続して改良に取り組みました。テキストブロックの共有機能に加え、画像を直接チャットに貼り付けて Imgur で共有することもできます。
サーバーやルームの追加操作についても、サーバー設定画面を設け、改良を行いました。サーバーの追加は、一覧から選択するだけで行えます。いちいちアドレスを入力する必要はありません。これは、ただ操作が簡単になっただけでなく、安全性の強化も意味しています。最も安全な接続方法を Polari が自動で選択するからです。また 3.20 では、サーバープロパティにサイドバーからアクセスできるようになり、簡単かつ直感的な操作性を実現しました。これらの変更は、Outreachy インターンシップの一環として、Isabella Ribeiro が実装しました。
新バージョンの Polari は、より多くの伝統的な IRC 機能もサポートしています。/msg コマンドのサポートや、IRC コマンドのタブ補完、IRC リンクのオープン機能などが利用できます。
これだけではありません。3.20 には他にも細かな変更点があります:
ファイルアプリは、3.20 で大きくブラッシュアップしました。特に検索機能は、力を入れて改善に取り組んでいます。検索フィルターを一新し、以前のバージョンより遥かにシンプルで簡単に使うことができます。また、検索機能の性能面での強化も実現しました。パフォーマンス上の課題を克服し、ユーザーインターフェースはより高速で応答性能に優れたものになっています。
設定画面もよりコンパクトで把握しやすいものになっています。ファイルを完全に削除するメニューやシンボリックリンクの作成メニューを追加する設定項目を新規に設け、また再帰検索に関する挙動の設定も追加しています。
3.20 では細かな改良もあります。たとえば、リスト表示/グリッド表示でのズームレベルの拡張、より大きなサムネイル、他の場所のドライブ容量に関する情報を表示する機能などが実装されています。
GNOME 3.20 については、まだまだたくさんあります。詳細については以下のページをご覧ください。
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