最新リリースには、他にも GNOME 3 コア部分のユーザー体験にかかわる新機能や改善点があります。
GNOME 3 とクラウドサービスとの統合を進める動きは、3.12 でも継続して行われました。今回のリリースで主要な新機能として導入されたものが、Google クラウドプリントとの統合です。これにより、GNOME からGoogle クラウドプリントサービスに接続したプリンターへの印刷ができるようになります。また、ドキュメントを Google ドライブ へ追加することもできます。これらのオプションは、標準の GNOME 印刷ダイアログから利用でき、オンラインアカウントで Google アカウントをセットアップすることで利用できるようになります。
他にも、3.12 でのクラウドとの統合には次のようなものがあります。
Pocket との統合をビデオに追加しました。これにより、Pocketに保存したビデオを GNOME の動画プレイヤーで試聴できるようになりました。
写真は、Facebookと統合しました。Facebook 上の写真を、他のソースの写真と一緒に閲覧できるようになりました。
設定では、Flickr の画像を壁紙に指定できるようになりました。
GNOME 3.12 では、新しいインターフェース要素を導入しました。ポップオーバーといいます。この吹き出し状のオーバーレイは、非常にフレキシブルであり、よく行われる多くのタスクに対する効果的なインターフェースデザインを可能とします。これは、想像的かつ魅力的なデザインソリューションの一助となります。ポップオーバーは、3.12 の多くの箇所で使用されており、今後のバージョンではますます一般的になるでしょう。
はじめて GNOME を起動したときに各種セットアップを助けてくれる GNOME 初期セットアップアシスタントは、3.12 でデザインを一新しました。Intel Open Source Technology Center の資金提供によるユーザビリティ調査に基づいて、初期セットアップ手順の各ステップを更新し、使いやすくユーザーフレンドリーになるようにしました。たとえば、言語と地域の設定を分割したり、タイムゾーン選択時の地図を大きくしたり、ユーザーアカウントのアバターを選べるようにしました、また全体に渡ってグラフィック面での改良も加えています。
GNOME の地理位置情報フレームワークは、前回のリリースで初めて導入されました。それ以来多くの更新が加えられました。携帯電話基地局のポジショニングや、GPS、近くの Wi-Fi アクセスポイントが、位置情報特定のためのメソッドとして追加され (3G モデムに組み込まれている場合は GPS だけがサポートされます)、より正確に位置を特定できるようになりました。
地理位置情報機能のフィードバックと制御も 3.12 で追加されました。ロケーションサービスを使用しているアプリケーションが存在する場合は、アイコンがトップバーに表示されます。また、地理位置情報機能の制御もシステムステータスメニューに追加されました。もっと詳細なプライバシー制御の実装が今後のリリースに向けて予定されています。
Wi-Fi ポジショニングは、Mozilla Location Service を利用しています。これは、お使いの電話の MozStumbler アンドロイドアプリの精度向上に貢献します。
Wayland は、Linux 上の表示と入力に関する次世代テクノロジーとなるものです。グラフィックの改善を提供し、既存のディスプレイ技術の制約を克服します。また、よりセキュアなアプリケーションの基盤を提供します。
初期の実験的な Wayland サポートは 3.10 で導入されました。その後も、開発は大きく進展しました。ログイン、入力ハンドリングにおいて機能面での一新を図り、また安定性および従来の X11 アプリケーションとの互換性を向上しました。
あなたが開発者あるいはアーリーアダプターであれば、最新の Wayland の成果をテストしてみることもできます。詳細については、開発者向けノートを参照してください。Wayland に向けた継続的な前進は、次の GNOME リリースでも予定されています。
3.12 に向けてタブのデザインを一新しました。新たなビジュアルスタイルは様々なコンテキスト、たとえばタブコンテンツの背景色が異なったり、タブが他のウィジェットに組み込まれたりするときなどに、これまでよりも調和的に機能します。また、多くの場合画面空間がより効率的に利用できるようになります。さらに、新スタイルではタブのドラッグ機能について分かりやすい外観を備えています。
GNOME 3.12 では、Bluetooth 設定が新しくなりました。デザインを一から作り直し、設定を簡潔にして簡単に使えるようにしました。以前は、デバイスを検出可能にするために個別のスイッチを使う、デバイスを新規追加するためにボタンを押すなどの操作をユーザーに強制していました。これらを止め、利用可能なデバイスを設定パネルから自動的に検出するようにしました。これにより新規デバイスのペアリングも、自動検出されたものをクリックするだけでできるようになりました。
また、新しい Bluetooth 設定では Bluetooth デバイスのプロパティダイアログも作り直しました。
3.12 向けのコアユーザー体験にかかわる細かな改良は他にもたくさんあります。
いくつかの技術的改善により、起動時間の短縮化につながりました。
シンボリックアイコンテーマを更新し、また多くのアイコンに改良を加えました。
ビジュアルテーマをさらに洗練させました。たとえば、ウィンドウ閉じるボタンのセパレーターがより滑らかになりました。ボタンの押された状態の背景色を改善しました。フローティングツールバーの見た目を改善しました。
アニメーションの改良。いくつかのトランジションが 3.12 ではアニメーションするようになりました。起動時のズームアニメーションが洗練されました。またウィンドウの画面端までドラッグするときのアニメーションが大幅に改良されました。
アクティビティ画面でのキーボード操作を改善しました。
デフォルトの壁紙を更新して、ロック画面イメージとマッチするスタイルを採用しました。前回のデフォルトの壁紙と同様に、今回のものも、時の経過により少しずつ画像が変化します。
ラベル中のリンク、メニュー、および色選択ダイアログのアクセシビリティを改善しました。
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