GNOME 2.10 で新しくなったこと
- 2.1. デスクトップ
- 2.2. いろいろなアプリケーション
- 2.3. コントロール・センター
- 2.4. パネルのアイテム
- 2.5. ユーティリティ
- 2.6. システム管理
- 2.7. ゲーム
- 2.8. プラットフォームの改善
2.1. デスクトップ
- 2.1.1. ファイル・マネージャ
- 2.1.2. ウィンドウの動作
2.1.1. ファイル・マネージャ
Nautilus という名前でも知られている、ファイル・マネージャは GNOME 2.10 でさらに高速に、そしてさらに動作が安定しました。その内部アーキテクチャの改善と修正の賜です。これにより、将来的にも開発者はファイル・マネージャをもっと簡単にメンテしたり拡張できるようになります。
さらに、Mozilla や Firefox といった他のアプリからのドラッグ&ドロップが、より滑らかな動作になりました。
加えて、GNOME のポリシーに沿った、ちょっとした細かい配慮を含む小さな変更がたくさんあります。たとえば、
- パス・ボタン (ウィンドウ左下のステータスバー横のボタン) がさらに分かりやすく一目瞭然になりました。
- 新しいファイルを生成すると、名前の変更が自動的に始まります。
- 親フォルダを開くキーボード操作 ([ALT]+[↑]) を行うと、現在のフォルダが選択されます。
GNOME 2.10 では背景や背景の模様などがプレ・インストールされるようになり、オリジナルのデスクトップに仕立てることが可能になりました。
2.1.2. ウィンドウの動作
初めは気づかないかもしれませんが、GNOME 2.10 には、もう一つの Freedesktop.org 標準 (クロス・デスクトップ) を実装することで、新しい機能が追加されています。
GNOME 2.8 では、何かアプリケーションに入力している最中に、あなたの友人から突然インスタント・メッセンジャーで話しかけてきたら、メッセンジャーのウィンドウにそのまま入力されてしまいました。もしパスワードを入力している最中にそのような事態が発生するときの危険性を想像してみて下さい。GNOME 2.10 では、そのような入力状態にならないよう対策が取られました。
さらに、アプリケーションの起動に長い時間を要する場合、最終的にウィンドウが開いたときでも作業中の動作を中断させられるということはありません。
2.2. いろいろなアプリケーション
- 2.2.1. ビデオ・プレイヤー
- 2.2.2. 楽曲の切り出し
- 2.2.3. ウェブ・ブラウザ
- 2.2.4. Evolution
- 2.2.5. GnomeMeeting
2.2.1. ビデオ・プレイヤー
GNOME の GStreamer マルチメディア・フレームワークを利用した、人気のある Totem ビデオ・プレイヤーがついに GNOME 2.10 への仲間入りをはたしました。Totem では、GNOME ユーザが期待するような直感的なインタフェースを提供し、複雑な設定に代わって自動的なハードウェア検出機能を搭載しています。
2.2.2. 楽曲の切り出し
大好評だった Sound Juicer "CD リッパー" は、後でお使いの PC や携帯型の音楽プレイヤーで再生するために、いろいろな CD から楽曲を手軽に切り出すためのツールです。曲目を自動的にダウンロードしてくれるおかげで、ボタンを二回以上クリックする必要はありません。
2.2.3. ウェブ・ブラウザ
GNOME 標準のウェブ・ブラウザ "Epiphany" は Mozilla をベースに GNOME デスクトップ環境に全て統合したものになっています。GNOME 2.10 での改善点にはつぎのようなものが含まれます
- フルスクリーン (全画面) モードが改良されました
- 表示しているサイトが安全であるかどうかを場所バーで分かるようになり、そしてサイトの favicon が表示されるようになりました
- ブックマークをエキスポートできるようになりました
- 追加プラグイン用のマネージャが搭載されました
2.2.4. Evolution
GNOME で E-メールとグループウェアを統合したクライアント、Evolution は Novell Groupwise や Microsoft Exchange に加え、古典的なメール設定もサポートしています。Evolution を使って電子メールや連絡先、関連だのイベントといったものの読み書きが可能です。
GNOME 2.10 では、IMAP、LDAP、WebCal、Groupwise、または Exchange を使っている場合、電子メール、カレンダ、そして連絡先をオフラインで以前より簡単に処理できるようになりました。そして、オンラインに戻した際にその変更を再び同期できるようになりました。
新しいバージョンにはカレンダの改善点が含まれています:
- いろいろなファイルをイベントへ添付できるようになりました
- 再発イベントで例外を作成できるようになりました
- カレンダに天気予報を含めることが可能になりました (U.S のみ)
そして新しい機能も追加されました:
- Groupwise 共有フォルダと送信オプションがサポートされました
- Exchange フォルダのサイズ変更とパスワード有効期限切れの警告がサポートされました
- メールのユーザ・インタフェースが右から左へ記述する言語向けに正しくミラーされるようになりました
2.2.5. GnomeMeeting
GnomeMeeting を使うと、インターネット・テレフォニー (VoIP) やビデオ会議を通して他の人と会話することが可能です。GNOME 2.10 では、アドレス帳が Evolution のメール・クライアントと共有できるようになったので、一つ以上の連絡先の情報を入力する必要がありません。
そして、ローカル・ネットワーク上にいる他の GnomeMeeting ユーザらの連絡先を先に探すことなく参照できるようになりました。加えて、対話している相手の映像の横に自分自身の映像を並べて表示できるようになったので、相手がどんな映像を見ているか分かるようになりました。
2.4. パネルのアイテム
GNOME 2.10 には (アップレットとして知られている) GNOME パネルのアイテムに対する広範囲にわたる改良が含まれており、新しい機能やデスクトップで空いている部分ともっと旨く統合化する機能が提供されています。
最も大きな変更点は、アクション・パネルメニューの削除と場所とデスクトップ・メニューの追加です。これらのメニューの追加により、頻繁に利用するアイテムへ、サブメニューを長々とたどることなく、素早くアクセスできるようになりました。たとえば、場所メニューにはご自分のホーム・フォルダ、お使いのコンピュータ、ネットワーク化されたサーバが一覧になっており、検索機能も追加されています。デスクトップ・メニューには、設定やシステム管理に関するコントロール・パネル、ログアウト、そしてヘルプといったアイテムがあります。
全てのパネル・メニューが、クロス・プラットフォームに対応した Freedesktop.org のメニュー仕様で定義されるようになりました。そして、GNOME の仕様を知ることのないサード・パーティ製のソフトウェアもアプリケーション・メニューへ容易に登録できるようになります。
さらに、パネル自身を透明にした場合、同時に多くのアプレットを部分的に透明にすることができるようになりました。
- 2.4.1. 統合されたモデム・モニタ
- 2.4.2. パネルのゴミ箱
- 2.4.3. マウント済みのボリュームを制御する
- 2.4.4. ますます手の込んだお天気アプレット
- 2.4.5. サウンド・コントロール
- 2.4.6. メモを取る
- 2.4.7. 格別にラップトップ向け
- 2.4.8. 消えていったアプレットたち
2.4.2. パネルのゴミ箱
GNOME 2.10 ではお使いのパネルにオプションでゴミ箱を追加できます。デスクトップにあるゴミ箱と全く同じように、そしてオープンしているウィンドウをいちいち最小化することなく、不要になったファイルやアイテムをドラッグ&ドロップできるようになりました。
2.4.3. マウント済みのボリュームを制御する
GNOME 2.8 では、いろいろな CD、DVD、そして USB メモリ・スティックといったお使いのデジタル・メディアを簡単にマウントすることができました。GNOME 2.10 のディスク・マウンタは、デスクトップに散らばっているアイコンや開いたウィンドウの裏に隠れているアイコンをわざわざ探すことなく、これらのボリュームを利用するための手助けをしてくれます。このアプレットは、現在マウントしている (あるいはアンマウント可能な) ボリュームを表示し、それらをマウントしたり、イジェクトしたり、あるいはファイル・マネージャから開いたりすることが可能です。
2.4.4. ますます手の込んだお天気アプレット
お天気 GNOME は以前のバージョンよりもたくさんの場所の天気予報に対応するようになり、そしてその場所の名前は正しいロケーションを表すよう非 ASCII 言語に翻訳されるようになりました。さらに、天気予報では、そのほとんどの場所で日の入りと日の出を計算できるようになりました。
2.4.5. サウンド・コントロール
お使いのパネルに貼り付ける、新しいミキサー (デスクトップ上で新しい外観を持つミキサーと一体化したもの) がお使いのサウンド用ハードウェアからたくさんの情報を取得してくれます。GStreamer マルチメディア・フレームワークを利用して、このミキサーは以前のバージョンよりもシンプルに、そして便利なアイテムになりました。同様に、このマルチメディア・フレームワークは Totem、Sound Juicer、GNOME CD プレイヤー、そしていろいろなサード・パーティ製のアプリを動かしているので、パネルから音量を変更すると、全てのアプリケーションに対して適用されます。
2.4.6. メモを取る
人気のある付箋紙アプレットはインタフェースがよりシンプルになり、そしてたくさんのバグが修正されたおかげで、ポストイットなスタイルでより簡単に貼り付けることができるようになりました。たとえば、付箋紙は現在のワークスペースに貼り付いたままにしたり、別のモニタに貼り付けたりできるようになりました。
さらに、付箋紙は他のウィンドウの上に貼り付くので紛失する心配はありません。そのメモを隠すには、単にアプレットを右クリックして表示されるメニューから選択するだけです。
2.4.7. 格別にラップトップ向け
ついに GNOME にお使いのラップトップのプロセッサ速度を監視するためのアプレットが仲間入りを果たしました。CPU 周波数モニタは可変スピードのプロセッサ (たとえば、Intel (C) Speedstep または AMD (C) PowerNow といった機能を持ったもの) を監視して現在のステータスを表示してくれます。もし自動的な周波数計測が行えないなら、他のスピードを選択できるかもしれません。
2.4.8. 消えていったアプレットたち
GNOME 2.10 では三つのアプレットが削除され、もっと良いものに置き換えられました。
CD プレイヤーのパネル・アプレットが削除されたので、(音楽 CD がドライブにセットされていようがいまいが関係なく、) パネル上に CD プレイヤーが表示されることはありません。その代わり、音楽 CD を挿入すると GNOME CD プレイヤーが自動的に起動して、お使いのパネルにある通知スペースからプレイヤを制御することができるようになりました。
専用の無線アプレットが削除されました。無線もサポートしているネットワーク監視アプレットが GNOME 2.8 から導入されたためです。
メール・ボックス監視アプレットが、メンテナンスされなくなったため、そして動作が不安定であるとい理由で削除されました。将来、Evolution メール・クライアントと連動する新しい解決方法を探っています。もし Evolution クライアントを利用していないのなら、他のプロジェクトの mailnotify といったアプリケーションを利用できるでしょう。
2.5. ユーティリティ
GNOME ユーティリティには、次のような改善点がいくつか含まれています:
- 2.5.1. テキスト・エディタ
- 2.5.2. 書庫マネージャ
- 2.5.3. 辞書
- 2.5.4. フロッピー初期化ツール
2.5.1. テキスト・エディタ
The GNOME text editor can now highlight the current line and when editing program source code, it highlights matching braces. Spell checking is improved too. It now only highlights misspelled words when you have actually finished typing the word, and many extra languages are supported and automatically identified.
実際に全ての変更点が適用されていない時に、それらの変更点を保存するよう促されるダイアログを見なくて済むことは、多くの人達が支持してくれることでしょう。そして、以前のバージョンよりも増して起動が高速になりました。
2.5.2. 書庫マネージャ
GNOME 書庫マネージャでは AR、Debian、そして 7-zip 書庫、さらにパスワード保護された RAR 書庫といった、対応する書庫ファイルの数がさらに多くなりました。さらに、ファイル・マネージャでシングル・クリックで開く設定にしていると、書庫マネージャ内でもシングル・クリックで操作できるようになりました。
2.5.3. 辞書
GNOME 辞書では、どのようなスペルか分からない時に単語の候補を提示できるようになりました。さらに、定義にも外部の辞書のウェブサイトを指すリンクが含まれたり、複数の定義を出力できるようになりました。
2.6. システム管理
GNOME 2.10 ではシステム管理に対する新しい機能をいくつか提供しています。
2.7. ゲーム
GNOME はあなたが目的を達成するのを助けてくれますが、たまにその目標がそらされる場合があります。そんな時、GNOME ゲーム集を楽しんでみて下さい。
2.8. プラットフォームの改善
GNOME 2.10 開発プラットフォームではサードパーティのソフトウェアを開発する人達、そして GNOME デスクトップ自身に対する安定ベースを提供します。GNOME 2.10 は、前バージョンとの互換性の維持や API の安定性など、いくつかの小さな API の改善が含まれています。特に今回は次のような改善が含まれています:
- GTK+ バージョン 2.6 には、新しいセル描画機能、新しいボタン・ウィジット、アイコン・ビュー、そして新しい情報ダイアログが追加されました。
- GLib バージョン 2.6 には、より簡単になったコマンドライン・パーサの API が追加されました。
- プラットフォームのバインディングには、ついに gnome-python を介した GNOME 開発者向けプラットフォーム向けの Python API の完全版が含まれました。従来の C++ 言語や Java、Perl、そして Python のバインディングに加え、gtkmm、java-gnome、gtk2-perl、そして pygtk といったプロジェクトを介したバインディングが可能になります。